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『シルマリルの物語』トールキン著
『シルマリルの物語』はトールキンによる神話集であり、息子の手によって編集された遺稿でもあります。
創世記から『指輪物語』や『ホビットの冒険』の時代あたりまでの世界観が重厚に織りなされています。


世界観を構築するというのは、ここまでするものかと驚愕するほど重厚です。
世界観の背景や歴史が『指輪物語』や『ホビットの冒険』の作中で無駄に語られていないのに読者がすんなりと受け入れてしまうのは、これだけの綿密な記録があるからこそ、説得力があるのですね。
それに、キャラに家柄や血統、そして種族の特色や歴史があるからこそ、それを表立って書かなくても文章から匂い立ち、それが存在感になるんですね。


『指輪物語』にも登場するサウロンも単なる悪役ではなく、彼にも彼の生い立ちから歴史、そして謂われがあるために、紡がれる宿命や絆がより強く心に残るのだろうと思います。


なにせカタカナの固有名詞が多いので、途中からもう音ではなく文字の形で記号のようにして目に入れて読み進めておりました。
歴史だけではなく、地理、気候、種族の特色がよりいっそう印象的でした。


それにしても、私の中でエルフへの印象が大きく変わりました。
つんと澄ましているだけだと勝手に思い込んでいましたよ。


『指輪物語』は未読なのですが、これを先に読んでおいて良かったんだろうなと思います。
『ホビットの冒険』は既読なので、「ああ、あれがこれで、あいつがこいつか」とか点と点が線になる感覚も楽しめました。


本当に圧倒された本でした。



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201511292240
寒くなりました。
夏の間は床の上でのびきっていた猫たちが、やたら膝の上に乗りたがったり、布団にもぐりこむ季節になりました。





凪と姫は息子と私の部屋に入り浸りますが、小町は夫のそばが好きなようです。
上の画像の凪は、このあと息子の髪を毛繕いしておりました。


朝晩冷え込みますが、体に気をつけて年末を乗り切りましょう。

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201511202256
『〈完本〉初ものがたり』宮部みゆき
初物を題材に描く時代小説短編集で、舞台は江戸、主人公の茂七親分が活躍する作品です。
カツオや白魚、柿など『初物』を題材にし、瑞々しい暮らしの色や匂いが伝わる短編集となっています。


短編ですから犯人もすぐ目星がつきますし、壮大なミステリというわけではないんです。しかし、一作ごとにきちんと人の業や情を描いており、ほろりとしたり、やりきれなかったり読後感がとてもいいです。
登場人物たちに愛嬌があり、ほっこりするのですが、そんな柔らかい文体で人間のどす黒い闇にとぷんと突っ込んでいくから流石です。


よその家庭のものが立ち入れないもどかしさや、お縄にしてもうやむやになってしまうかもしれないやりきれなさを、茂七親分がうまく立ち回るのを見て、いつの世も人は変わらぬものだと思います。


『半七捕物帳』を思わせるような暮らしに貼りつく描写ですが、文体は女性らしく優しいのがいいですね。


食べ物がたくさん出てくるせいでしょうか、江戸の暮らしが四季折々匂い立つようにつたわってきます。
出てくる人物たちも味があるんですね。


正体不明のいなり寿司屋の親父が出てくるのですが、こういうキーパーソンが短編をうまく数珠のように繋げていて、最後まですんなり読めてしまう。短編集なのに、細切れでなくつるんと一冊の本として綺麗にまとまっていると思います。


一読者としては親父の正体がはっきりしてくれればもっと嬉しかったんですが、今回は三篇が追加されて『完本』として戻ってきましたからね、それで充分嬉しいです。もっと彼らの活躍が見たくなりますねぇ。




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201511202253
『眠れる美女』川端康成
新潮文庫の『眠れる美女』には表題作を含めて三作品の短編が収録されています。
ここでは表題作について書いていきます。


深い眠りについた裸体の美女のそばで休む、老人たちの秘密クラブのお話です。
まぁ、退廃的というか閉塞感のすごいこと。


若さ溢れる美女たちは眠っているだけなんですよね。寝言を言ったり、身体的特徴の差はあれど、みんなじっと昏睡しているだけ。
それなのに否応なくにじみ出る若さ。笑っているわけでも、一つになるでもない。ただ寝ているだけでも眩しい。そこが強い皮肉となって老いを照らしますね。
そして彼女たちが生娘であることが、老人たちの哀愁と羨望の入り交じった心情の象徴のように描かれています。


男としての衰えを意識した男というのは、複雑なものでございますね。
そう、主人公は男でなくなった男ではなく、男でなくなる寸前の男。だから余計に複雑で惨めです。


眠っている女性を通し、老人の過去がよみがえります。交錯する過去は奇妙な時間への陶酔を誘います。そしてそれはますます老いを見つめ直すことになるんですね。
女性たちの先を思っても、なんだか薄暗い予感しかない。
デカダンス文学の名作と評されておりますが、本当に退廃的です。


私、きっと十代や二十代ではこの作品はわからなかったと思います。女性側にたってしまって、男性の老いによる心情をはかりきれなかったでしょうね、おそらく。
男性の方はこの作品をどう思うのでしょう。気になるところです。




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201511172223
『老人と海』ヘミングウェイ
ヘミングウェイの作品の中でも『武器よさらば』や『誰がために鐘は鳴る』などに並んで有名な作品かと思います。


ページ数が短いんですが、緊張の走るシーンのために尚更短く感じます。
文体は淡々としています。冒頭とラストに少年と老人の会話があるものの、大半は老人がぶつぶつ言っているだけ。なにせ海で出会う鳥も魚もサメも話しませんもんね。
それだけに情景描写が続くんですが、そこがすごい。


なにがすごいって説明っぽくならないんですよねぇ。
作者の瞳を通して、自然の厳しさ、美しさ、それを目にした人間の胸の内がまざまざと沸き起こります。


そして、老いがもたらす弱さと惨めさ、同時に年齢を経たものしか得ることの出来ない強さと凛々しさがあります。
老いとはやりきれないものです。けれど、だからこそ持てる良さがある。
「若い」と言われることを喜ぶ頃、肌や機能の衰えにハッとした後にわかる良さかもしれません。


ニーチェは年齢を経たら錆びた部分もなければならないと言っていたと記憶しています。私たちはこの老人に錆を見るのでしょう。そしてその錆を彼につけた海という自然に圧倒されるのです。


勇気が快いですね。意志と行動と、孤独がじんと心を打つ名作です。
少しでもスペイン語を勉強してから読むとなお楽しめると思います。




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201511132131
『ホビットの冒険』J.R.R.トールキン
ファンタジーの巨匠トールキンが生み出した世界のなんと重厚なこと。
『指輪物語』の原点ともいえる雄大な物語です。


風土、地理、歴史、人物、種族、そういうものが織物の縦糸と横糸のようにしっかりと織り込まれているタペストリーのよう。
どこもほつれているところがないのがトールキンのすさまじさなんですね。


どうして彼の描く人物たちはこうもリアリティに満ちて生き生きとしているのか。
それは一人一人に生い立ちから死ぬまでの生き様や性格、癖、風貌に声に匂いまできっちりと作者によって想定してあるからでしょう。
その物語の中に登場しなくても、その人物が培ってきた経験や暮らしが感じられるんですね。


そして結構あっさり話を進めたかと思えば、じっくり描くところは描く、緩急のつけ方が実にいい。
辛気くさい道中を描くとしても、それが単調で退屈なものにならないんですよねぇ。それどころかそこでキャラの性格を巧みに出したり、伏線を滑り込ませたり。


竜のスマウグに奪われた宝を取り戻すために戦うドワーフとホビットの物語なんですが、ドワーフが主人公ではないところが面白いですよね。
エルフのほうが道中役に立ちそうなのにホビットを選ぶところがいい。


そして、竜は結構あっけなく倒れる。しかも倒すのは旅をしてきたドワーフたちでもホビットでもない。
けれど、本当の敵が竜ではなく、己の欲深さや意地なのだというところがまた面白い。


我らがビルボという名のホビットは世界中の子どもたちから尊敬されるような大冒険をしでかすというのに、「変わり者」という評判に落ち着くというのも、また一興。本人は意に介していませんが、とかく世間の目というものがどういうものかもわかるもの。


子どもの頃にわくわくしながら読むのもいいんですが、大人になってから現実社会のいろんなことを照らし合わせてみても、作者の人間としての器の大きさがにじみ出ているなぁと思うのです。




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201511122359
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